古代の人々と月:神秘と信仰の対象

 月と共にくらす。

古代における月の崇拝

月は古代から世界中で崇拝されてきました。

ウィッチクラフトにおいても、月は信仰の中心的な存在とされています。
女性の守護、出産、海や水、農業といったテーマは、キリスト教以前の多くのペイガニズムにおいても重要な要素でした。

月は「女性の守護者」「出産の支配者」「海や水の女神」「種まきと収穫を司る神」として崇拝されてきました。

ギリシャ・ローマ神話には、ヘカテ、ディアナ、セレーネといった月の女神たちが登場します。

これらの女神たちは魔女や魔術とも深く関わりを持っています。
また、キルケーメーディアなどもヘカテの影響を受けた魔法の力を持ち、ヘカテ神殿で魔法の技術を学んだとされています。
ヘカテ自身も夜、魔法、霊魂、十字路の女神として崇拝され、多くの魔術師や巫女たちに影響を与えました。

さらに、ケルト神話では、月の女神アリアンロッドが登場します。
彼女は銀の輪を意味する名前を持ち、星座や運命を司る存在として知られています。
アリアンロッドは魔法使いであり、変身能力を持つことから、魔女や魔術とも深い関わりがあるとされています。
彼女の伝説には息子であるルーの成長と英雄的な運命を導く役割を果たす話があり、月の神々が魔術や運命といかに結びついているかを示しています。

月に関連付けられた主な女神

ヘカテ (Hecate)
ギリシャ神話の夜と魔法の女神。
月・魔術・豊穣・浄めと贖罪・出産を司る女神で、冥府神の一柱。その地位はハーデース、ペルセポネーに次ぐと言われる。
ディアナ (Diana)
ローマ神話の月と狩猟の女神。
新月の銀の弓を手にする処女の姿が特徴。
セレーネ (Selene)ギリシャ神話の月の女神。ローマ神話の『ルーナ』と同一視される。
イシス (Isis)
エジプト神話の魔法と再生の女神。月に関連する側面も持つ。古代エジプトでは「アセト」と呼ばれた。
アルテミス(Artemis)ギリシャ神話の月と狩猟の女神。後にセレーネ、闇の女神ヘカテーと同一視され、三通りに姿を変えると考えられた。
ネイト (Neith)エジプト神話の戦と織物の女神。月との関連もある。
ヘーラー (Hera)
ギリシャ神話の最高位の女神で、ゼウスの妻。月との明確な関連は少ないが、結婚と母性、貞節を司る重要な女神の一柱。
アフロディーテ (Aphrodite)ギリシャ神話の愛と美の女神。オリュンポス十二神の一柱で、愛と美と性を司る。月と直接関連することは少ないが、一部の神話では月と関連付けられることもある。
ツクヨミ(Tsukuyomi)日本神話の月の神。
ツクヨミは通常、男神として描かれているが、新月と満月の両方の顔を持ち、その顔が男神と女神の両方であるとされることもある。この多様な解釈は、月の神秘性と多面的な役割を反映している。
ケリドウェン(Ceridwen)ケルト神話の魔法と知識の女神。一説では魔女であるともいわれ、月の女神、冥界の女神ともされる。
イーオー (Io)ギリシャ神話のゼウスに愛されたニンフで、後に月に関連づけられることもある。
イシュタル (Ishtar)メソポタミア神話の愛と戦、豊穣、金星、王権など多くの神性を司る女神で、月と関連することもある。
イナンナ(Inanna)メソポタミア神話の愛、美、戦争、そして豊穣を司る女神。金星(明けの明星・宵の明星)としても知られる。

イナンナとイシュタルは多くの点で共通しているので、同一神なのかなと思ったのですが、文化や時代によって異なる名前で呼ばれることがあるそうです。

少し調べてみたところによると…

  • イナンナ (Inanna) は、シュメール神話における愛、美、戦争、豊穣の女神です。彼女は特にウルク市で崇拝され、多くの物語が彼女に関連しています。
  • イシュタル (Ishtar) は、アッカド、バビロニア、アッシリア神話における同様の属性を持つ女神です。愛、美、戦争、豊穣の女神であり、しばしば金星と関連付けられています。

実際、イナンナとイシュタルは同一視されることが多く、シュメール神話からアッカドやバビロニア、アッシリア神話への伝播に伴って名前が変わっただけだと考えられています。

シュメール語名「イナンナ」で、アッカド語名「イシュタル」

【神話事典|イナンナ】シュメール神話に登場する「天の女主人」 | MP


そのため、両者は基本的に同一の女神と見なされますが、地域や時代により異なる神話や伝承が付け加えられることがあります。

文化的な影響によって同一視されつつも、それぞれの地域で独自の特徴を持つ場合があるという点が興味深いですね。


ローマ神話のディアナ神とギリシア神話のアルテミス神。
この二柱の女神は『月と狩猟』の女神とされている共通点があるのも興味深いですね。
少し調べてみると…

アルテミス(ギリシャ神話)

ゼウスとレトの娘であり、アポロンの双子の妹です。
アルテミスは純潔を守る狩猟の女神で、自然と密接な関係を持ち、動物たちの守護者とされています。
また、月の神としての側面もあり、夜空を照らす存在です。

ディアナ(ローマ神話)

アルテミスのローマ神話における対応神であり、同じく狩猟と月の女神です。

ディアナは森や野生動物の守護者であり、純潔の象徴とされています。
彼女もまた、月との強い結びつきを持ち、夜の神秘を体現しています。

アルテミス神はより野生的で独立心が強いとされ、ディアナ神はより穏やかで慈悲深いとされる場合があり、
アルテミス神はギリシャ全域で崇拝されたのに対し、ディアナ神はローマを中心に信仰されたそうです。

ギリシャ神話とローマ神話において、月と狩猟の女神が共通して登場するのは、自然と人間の関係や、月がもたらす神秘的な力を象徴するためであると考えられます。

夜空に輝く月は、生命の誕生や成長を司る力を持っていると考えられていました。
そのため、アルテミス神やディアナ神は、単なる狩りの女神だけでなく、生命の再生や豊穣の象徴としても崇拝されていました。
自然や女性性を象徴する存在として、現代の芸術や文学作品にも数多く登場して現代の人々からも強い関心を集めている神様でもあります。



これらの神々や女神たちは、異なる文化や神話体系において、月や関連する特性(夜、魔法、女性の守護など)と深い関連性を持っています。
それぞれの神話には独自の背景や物語があり、月に関する信仰や象徴が広範に見られます。

女神ではないのですが、エジプト神話のトト神も月の神さまですね。

月の神であり、知恵、書記、魔法、科学、時間の守護神として崇拝されました。
トト神はしばしばアイビスという鳥の頭を持つ姿で描かれ、古代エジプトの学問や記録、魔法に関する重要な役割を果たしました。

Wytches Chant ’98 という曲も月の女神たちが登場します。

そういえば、日本の神さまは「一柱」「二柱」と言いますが、外国の神さまも「一柱」「二柱」で良いのかしら。

そしてざっくりと月の女神さまたちを調べてまとめてみたものなので、
絶妙に違う!となっても『諸説あり』としておいてくださいw

Triple Goddess:三相の女神

三相女神のシンボル

Triple Goddess(三相女神)は女神の三つの側面を表現した概念で、通常は「乙女」「母親」「老婆」の三つの姿で描かれます。

それぞれの側面は女性のライフサイクルや自然のサイクル、月の満ち欠けなどと関連付けられ、これらの側面は自然のサイクルや人間の経験を反映し、バランスと調和の重要性を強調しています。

乙女の相(Maiden)

月相:新月、三日月に対応

象徴:無垢・純粋さ・創造性・成長・新たな始まり・潜在力

新たな冒険やプロジェクトを始めるとき。
新しい意図を設定し、夢を追いかけるエネルギーが高まる

母親の相(Mother)

月相:満月に対応

象徴:豊穣・保護・育成・成熟・創造力

成果や実現の時。豊かさやクリエイティビティがピークに達し、プロジェクトの完成や目標達成を祝う。

老婆の相(Crone)

月相:かけていく月(下弦)に対応

象徴:知恵・内省・死(終わり)と再生・解放

内省と浄化の時。過去の経験を振り返り、不要なものを手放し、次のサイクルへ向けて準備を整える。

三相女神に影響を与えたとされる女神

三相女神は様々な文化や神話の影響が見られます。
どこの地域や文化であっても、共通して人間をはじめとする万物は様々な側面を持っていることを示していると考えられます。
三相女神に影響を与えたとされる女神たちは、それぞれの文化において異なる役割や象徴を持ちながらも、三相女神の概念と深く結びついています。

ヘカテ(Hecate)ギリシア神話の三相女神。夜・魔法・交差点の神とされる。
ディアナ(Diana)
/アルテミス(Artemis)
月と狩猟の女神で、乙女の象徴とされる神。
セレーネ(Selene)ギリシア神話における月の神で、月自体を擬人化した存在。
イシス(Isis)エジプト神話の母性と魔法の女神で母の象徴とされる。
ブリジッド(Brigid)ケルト神話の三相女神。詩、鍛冶、治癒の女神。

月の満ち欠けとその象徴

月が古代から信仰の対象として崇拝されてきた理由の一つに、その満ち欠けによる絶えず変化する姿が考えられます。

月の満ち欠けは時間の流れや自然のサイクルを視覚的に示し、農業、漁業、狩猟など、人々の生活と深く結びついていました。

また月は夜を照らす光源として、未知や恐怖を和らげる役割も果たしました。
その存在は昼と夜、明と暗、生命と死といった対極的なものを象徴するものとして捉えられています。
月の光が持つ神秘的なエネルギーや、新月や満月の時期に感じられる特別な力は、多くの文化で儀式や占い、魔術の基盤となりました。

新月から満月へ、そして再び新月へという月の満ち欠けのサイクルは、光と闇のバランスを取り、再生、変化、更新の象徴とされました。

現代における月の象徴と信仰:自分らしさを取り戻すヒント

古代から人々の心を魅了してきた月は、現代においてもその神秘的な魅力を失っていません。
信仰というと何か特定の宗教を思い浮かべるかもしれませんが、月の存在を感じ、それを意識して過ごし、感謝することも立派な信仰の一つです。
月のリズムに合わせて生活することで、私たちは自然とのつながりを感じ、心の安らぎと癒しを得ることができます。

現代の月が持つ意味

月の満ち欠けは私たちの心の状態を映し出す鏡のようなもの。
と言われています。


月のリズムに意識を向けることで自分の感情を深く理解し、受け入れる助けとなります。

これまで見てきたように、月は古来より女性性と深く結びついています。
自身の女性的側面を受け入れ、内なる力を開花させるための象徴として、月を意識することは大きな意味を持ちます。

月のエネルギーを活用した瞑想や儀式は、心の浄化や自己成長を促します。自分自身の内なる声に耳を傾け、直感を研ぎ澄ます助けとなるでしょう。

月は自然の一部であり、私たちと深くつながっています。自然のリズムに身を委ねることで、心の安らぎと癒しを得ることができます。

月星座(占星術)

月星座は、あなたが生まれた瞬間に月が位置していた星座のことを指します。

生まれた時の月の位置は、私たちの感情や心の奥底を映し出します。
月星座はあなたがどのように感情を表現し、どのような環境で安心感を得るかを理解するための重要な要素です。

月の満ち欠けと生活

新月には目標を設定し、満月には感謝の氣持ちを込めて過ごすなど、月のリズムに合わせて生活することで、より豊かな日々を送ることができます。

クリスタルやハーブとの組み合わせ

月のエネルギーを強化するために、クリスタルやハーブを活用するのもおすすめです。

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自分らしさを取り戻すために

月を意識した生活を取り入れることで、私たちは自分自身の内なる声に耳を傾け、心の奥底に眠っていた自分らしさを取り戻すことができるでしょう。

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月を道しるべに 
ルナカレンダーや日常生活で月のエネルギーを感じるためのアクションを紹介しています。

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各月相に対応したハーブについて紹介しています。


古代から現代まで月は人々の心を魅了し続けてきた神秘的な存在です。
月のエネルギーを活用することで自分自身と向き合い、より豊かな人生を送ることができるでしょう。

月のエネルギーを活用するヒント

  • 月の満ち欠けに合わせたルーティン:
    • 新月: 新しい目標を設定したり、デトックスを行うなどリスタートに最適な時期です。
    • 上弦の月: 目標に向かって努力したり、スキルアップを図るなど行動力を高める時期です。
    • 満月: 感謝の氣持ちを表明したり、達成感を味わったりするなど収穫の時期です。
    • 下弦の月: 不要なものを手放したり、心を穏やかにするなど浄化の時期です。
  • 月のリズムに合わせた食事:
    • 新月: 体を軽くするような食事を心がける。
    • 満月: 満腹にならないように注意し、消化の良いものを選ぶ。
    • その他: 月の満ち欠けに合わせて、体に良いとされる食材を取り入れる。
  • 月の光浴:
    • 月の光を浴びながら瞑想をする。
    • 月の光を浴びながら日記を書く。
    • 月の光を浴びながらアロマを楽しむ。
  • 月の満ち欠けと美容:
    • 満月の日は髪の毛を切ると良いと言われています。
    • 新月の日は新しいコスメを試してみるなど、美容に関することを始めるのに良いタイミングです。
  • 月の満ち欠けと家事:
    • 満月の日は大掃除をするなど、環境を整えるのに良いタイミングです。
    • 新月の日は部屋の模様替えをするなど、新しい環境を作るのに良いタイミングです。