お正月準備

魔女のこよみ帖

正月事始め

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お正月準備は、12月13日の『正月事始め』から始めます。
この習わしは、江戸時代、12月13日に江戸城で大掃除をしたのがはじまりと言われています。
旧暦(宣明暦)の12月13日は「婚礼以外は吉」とされる「鬼の日」でした。

「鬼の日とは」(▶クリックで詳細へ)

宿曜の鬼宿日のことで、「鬼が宿から出ない日」として「万事吉」とされています。
また、お釈迦様が生まれた日が鬼宿日だったため。など由来は所説ありますが、いずれも「万事吉」の日。

二十八宿:婚礼のみ凶。他の事においてはすべて吉。
二十七宿:あらゆることに吉。特に名誉や長寿を求めること、官位を受けること、宗教への入信、奥義を学ぶことに吉とされる。

宿曜とは、古代中国で生まれた天文学であった二十八宿がインドに渡り、宿曜道に基づく要素が入り「牛宿」を除いた二十七宿となり再び古代中国へ伝わったものです。
日本へは平安時代に伝わり、江戸時代初めまで二十七宿が使われていました。江戸幕府天文方の渋川春海(1639-1715)によって貞享2年(1685年)に貞享暦(大和暦)への改暦が行われ、二十八宿が採用されました。

二十七宿で12月の鬼宿日が13日にあたり、縁起の良いこの日からお正月の準備を始めました。

煤払い

正月事始めの最初は煤払いから始めます。
大掃除の一環として、煤と一緒に一年の穢れや厄を祓い、新しい年を清らかに迎えるために古い年の汚れや埃を払う儀式です。

火の神さまで家の運を司る荒神さま。
その荒神さまが司る『竈(かまど)』は、かまど周りを綺麗にすることで『家運を守る』という意味から、特にかまど周りのお掃除は念入りにされていました。

煤祓いに込められた意図と意味

ひとつめ。
『邪氣払いと浄化』

煤払いは物理的な汚れを取り除くと同時に、家の中に溜まった邪氣や悪いエネルギーを祓います。
清潔な環境を整えることでポジティブなエネルギーが流れやすくなり、新年を良い運氣で迎えることができます。

ふたつめ。
『新しい始まりの準備』

年末の掃除を通じて過去の出来事や古い物を整理し、新しい年に向けて心の整理をする意味があります。
古いものを手放し、新しいエネルギーを受け入れる準備を整えます。

みっつめ。
『感謝とリセット』

煤払いは、一年の感謝の氣持ちを込めて行うことが大切です。
家や環境に感謝し、リセットすることで、新しい年を清らかな氣持ちで迎えることができます。

煤祓いを円滑に行うために。

  1. 計画的に行う: 煤払いは全ての部屋を一度に掃除するのではなく、計画を立てて少しずつ進めるのが効果的です。大掃除を前に、必要な掃除道具を揃えておくとスムーズに進みます。
  2. 家族全員で行う: 家族全員で協力して煤払いを行うことで、絆を深め、新しい年を迎える準備を一緒にすることができます。
  3. 神棚や仏壇の掃除: 特に神棚や仏壇の掃除は丁寧に行い、心を込めてお祈りをしましょう。これは新年に向けての大切な儀式です。

常々言っていることと重複するかもしれませんが、
上に挙げたアドバイスはあくまでも「こうすれば一番良いだろう」というもので、
かならずしも「こうしなければならない」というものではありません。

年末までお仕事で家族が揃わなかったり、そもそも神棚やお仏壇がなかったりするかもしれないですしね。
なので、自分たちの家庭にとってどの形で取り組むのがベストなものなのかは、そのご家庭で作り上げて行くことが大切なのだと思います。
それがお正月準備に込められた「何かを代々伝えていくこと」「子孫繁栄」にも繋がっていくのだと思います。

煤払いは、新しい年を迎えるための重要な行事であり、物理的な掃除を超えて精神的な浄化と準備を含んでいます。

アネ
アネ

ぜひ、心を込めて煤払いを行い、清らかな氣持ちで新しい年を迎えてくださいね。

お正月飾り

正月飾りは正月に年神様をお迎えするための目印となる特別な飾りであり、滞在していただくためのものです。また、邪悪な災いが外から侵入するのを防ぐ意味もあります。

歳神さまは五穀豊穣を司る田の神、家や家族を守る先祖の霊、毎年の福や徳を司る恵方神などが習合した神様で、昔からお正月には歳神様(歳徳神)が各家庭を訪れ、正月を迎えるすべての人にその年の幸福をもたらしてくれるといわれています。

お正月飾りには様々な種類があり、それぞれに独自の意味があります。

門松(かどまつ)

松は生命力の象徴、竹は清廉潔白、成長と繁栄を表します。

門松の三本の竹は天・地・人を表し、家族の平和と繁栄を祈る意味があります。

門松には竹の切り口が斜めの「そぎ」と、地面と平行な「寸胴」があり、「寸胴」は節を切らずにお金を貯める意味で良いとされる地域もあります。

門松は家と家族を守り、年神様を招き入れるための象徴です。永遠の生命と成長を願う意味があります。

これらは年神様が訪れる目印として左右対称に玄関の両脇に飾ります。
設置は年末の縁起の良い日に行い、1月7日か15日まで飾るのが一般的です。

しめ縄(しめなわ)

しめ飾りは、日本神話に登場する天照大神(アマテラスオオミカミ)の岩戸隠れに由来すると言われ、悪霊や邪氣を祓い、幸運を招くとされています。

注連縄の「しめ」は神さまの占める場所などの意味を示し、その中は清浄であり、神聖な場所であることを意味します。
邪悪なものを寄せ付けずかつその中に入り込まないための結界として年神様が安心して降臨できる環境を整えます。

一般的には玄関や神棚に飾られます。

そのカタチや注連縄に付ける縁起物は地域によって違いますが、多くは稲わらを用いて編まれ、編み込まれた縄には紙垂や縁起物が飾られます。

縁起物は、家族の繁栄や健康、長寿を祈る意味があり、新年を迎えるにあたり重要な役割を果たします。

12月29日に飾ると「二重に苦(苦が重なる)」、31日は「一夜飾り」と言われ、縁起がよろしくないためこれらの日に飾るのは避けます。

しめ縄に見られる縁起物

「裏白(うらじろ)」(▶クリックで詳細)

ウラジロ科ウラジロ属の植物で、その名の通り葉の裏側が白くなっています。
葉の裏側は人の内面や心を表すとされ心に裏表がない清浄さを表すことを象徴します。

また、一対の葉が左右対称に育つため「夫婦円満の象徴」ともされており、「共に白髪になるまで一緒に暮らす」という願いも込められています。

「橙(だいだい)」(▶クリックで詳細)

ミカン科ミカン属の橙は、その色から太陽の象徴であり、大きくなっても木から落ちないことから家が代々続いて繁栄することを願う象徴です。

橙の実はなかなか木から落ちることが少なく、1株に様々な年代の実が同時に生るため、「代々栄える」から「子孫繁栄の象徴」とされています。

「南天(なんてん)」(▶クリックで詳細)

「難を転ずる」から、「厄除け」「魔除け」の縁起物として使われています。また実の赤い色は生命力の象徴です。

「楪(ゆずりは)」(▶クリックで詳細)

ユズリハ科ユズリハ属の楪は冬も青々した葉をつける常緑樹で、春に若葉が出てから前年の葉が譲るように落葉するため、代々受け継がれていく家系が途絶えることなく続くという縁起物として用いられます。

紙垂(しで)(▶クリックで詳細)

紙垂の形状は、雷による稲妻がモチーフとなっており、厄や病を祓う神聖なものとされています。

そのため、注連縄に取り付けることで悪しきものを祓い中に入れることのない聖域を表すものとなります。

注連縄の種類

ごぼう注連(ごぼうしめ)

ごぼうのような形をしたしめ縄で、神棚に飾ることが多いです。

普段使う縄は右綯いですが、正月のしめ縄は特別なものとして左綯いになります。

 左は神聖、右は日常(俗)とされ、神様から見たときに太い部分が左側にくるように飾ります。

これは神様が家に降り立つ際の目印となり、神聖さを保つ意味があります。

ごぼう注連+前垂れ(ごぼうしめ+まえたれ)

ごぼう注連に前垂れをつけたもので、裏白、紙垂、譲り葉、橙などを加えたしめ飾りです。
主に玄関先に飾り、西日本でよく見られます。
前垂れや他の飾りは縁起物であり、家の繁栄や幸運を願う意味があります。
特に西日本では、家全体を守り、年神様を迎える準備を整える象徴となります。

玉飾り(たまかざり)

太いしめ縄を輪にしたものに、前垂れ、裏白、紙垂、譲り葉、橙、海老、扇などの縁起物をつけたしめ飾りです。

東日本でよく見られ、玄関先に飾ります。
輪の形は永遠と無限を象徴し、縁起物は家の繁栄と幸運を招く意味があります。家族の健康と長寿を願う意味が込められています。

輪飾り(わかざり)

細いしめ縄を輪にしたもので、譲り葉や紙垂をつけた小型のしめ飾りです。
部屋やキッチン、トイレなどの水まわりに飾ります。

小型の輪飾りは、家庭内のあらゆる場所を清め、不浄なものを防ぐ役割があります。
特に水まわりに飾ることで、清浄な空間を保つ意味があります。

鏡餅(かがみもち)

丸い餅を重ねた鏡餅は歳神さまの依り代ともなるもので、神棚や床の間に飾られます。

三方と呼ばれる台の上に大き目の半紙を前方と両側にたらすようにして敷き、昆布・裏白・ゆずり葉などを乗せた上に餅を重ねて置き、その上に(だいだい)を置くのが正式な方法です。

餅は穀物の神様へのお供物です。
丸い形は月や太陽、過去と未来などを表し、陰陽の調和や森羅万象を象徴するとも言われています。
鏡餅は家族の繁栄と健康を願う意味があります。

正月の間歳神さまの依り代となりそのエネルギーが宿っているため、鏡開きの日はそのエネルギーを切ってしまう刃物は使わず木槌などで餅を割り、歳神さまへの感謝と共にその力を分けていただいて一年の無病息災を祈願します。

干支飾り

干支飾りはその年の干支に関連する動物やシンボルを飾るものです。
たとえば、寅年なら虎の飾り、巳年なら蛇の飾りを用います。

干支飾りは、その年の運氣を高め、幸福を招くためのシンボルで、年ごとの動物の特徴にちなんだ願いが込められています。

干支別 飾りに込められた願いと意図(▶クリックで詳細)
子

願い: 繁栄・豊かさ・多産
ネズミは繁殖力が強く、富と繁栄の象徴とされています。
新しい始まりを意味し、家族や事業の繁栄を願います。

丑

願い: 忍耐、努力、安定
ウシは辛抱強さと努力を象徴します。
目標達成のための地道な努力と忍耐を促し、安定した生活を願います。

寅

願い: 勇気、力、成長
トラは勇気と力を象徴し、新しい挑戦や冒険を恐れずに行う力を与えます。
成長と成功を願います。

卯

願い: 平和、調和、繁栄
ウサギは穏やかさと優しさを象徴し、平和と調和をもたらします。
繁栄と幸福を願います。

辰

願い: 力強さ、繁栄、成功
竜は神聖な存在で、力と繁栄を象徴します。大きな成功と幸運を願います。

巳

願い: 知恵、再生、健康
蛇は知恵と再生を象徴し、古いものを脱ぎ捨て新たに生まれ変わる力を与えます。
健康と長寿を願います。

午

願い: 速度、進展、自由
ウマは自由と力強い動きを象徴し、物事がスムーズに進展することを願います。
自由と進歩を願います。

未

願い: 安らぎ、協力、家族
ヒツジは平和と協力を象徴し、家族の絆を強め、安らぎをもたらします。
協力と家庭の幸福を願います。

申

願い: 知恵、機敏、適応力
サルは知恵と機敏さを象徴し、変化に柔軟に対応できる能力を与えます。
知恵と適応力を願います。

酉

願い: 繁栄、目覚め、勤勉
トリは目覚めと繁栄を象徴し、新たな始まりや事業の繁栄を願います。
勤勉さと成功を願います。

戌

願い: 忠誠、誠実、守護
イヌは忠誠心と誠実さを象徴し、家庭の守護者としての役割を果たします。
家族の安全と誠実さを願います。

願い: 勇氣、決断、冒険
イノシシは勇氣と決断力を象徴し、新たな冒険や挑戦に挑む力を与えます。
勇氣と新しい始まりを願います。

羽子板

羽子板は昔の遊び道具である羽子板を模した飾りで、一般的には装飾が施され、美しく彩られたものが多く見られます。

羽子板は厄除けと健康を願う意味があり、特に女の子の成長と健康を祈る飾りです。

ダルマ(達磨)

ダルマは片目を入れずに飾り、願いが叶ったらもう片方の目を入れる習慣があります。
福を呼び込み、願望成就を象徴します。
ダルマは忍耐と目標達成のシンボルです。
信念を持って願いを叶えるための精神的な象徴です。


お正月の準備は、ただの家事や儀式以上のものです。
心と体を整え、家族や大切な人々との絆を深める時間です。
皆さまが清らかな心で新年を迎えられるよう、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。

新しい年が皆さまにとって幸福と繁栄に満ちた一年となりますよう、心からお祈り申し上げます。
どうぞ素晴らしいお正月をお迎えください。

おせち料理

お重に詰めることから、福が『重』なる、めでたいことが『重』なるという意味を込めて作られます。お正月にお迎えした神さま、家族や縁深い人たちといただきます。

一の重(祝い肴) 「三つ肴(数の子・田作り・黒豆)など
二の重(焼き物) 縁起の良いブリ・鯛・海老など海の幸(焼き物)
三の重(煮しめ) 一つのお鍋で作る→家族が仲良く結ばれる
与の重(酢の物・和え物) 日持ちする酢の物中心
日持ちする順番は、佃煮(田作りなど)→酢の物→煮物→焼き物です。

海老長寿祈願 「腰が曲がるまで長生きできますように」
ブリ出世祈願 出世魚(ワカナ→ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ)
数の子子孫繫栄
伊達巻知識や文化の発展祈願 「伊達」は華やか「巻き」は巻物(書物)
紅白かまぼこ「紅」魔除け「白」清浄「半月切り」初日の出 めで
黒豆マメに働く。 皺がよるまで健康に過ごせるように
田作り豊穣祈願 イワシを肥料にしたら豊作になったことから
昆布巻き「よろこぶ」 福を授かる
紅白なます(大根)お祝いの紅白水引きをかたどって新年を祝う
れんこん「将来の見通しを明るく」
くわい大きな茸は出世祈願 「芽が出る」とめでたいをかけている
くりきんとん黄金色は財宝を表すことから「豊かな一年を過ごせるよう」 「勝ち栗」は縁起物

お正月の準備は、新しい年を迎えるための大切な儀式です。

これらの準備を通じて心も体も清らかに整え、家族や大切な人々との絆を深めましょう。
新年が皆さまにとって健康と幸福、そして繁栄に満ちた素晴らしい一年となることを心からお祈り申し上げます。

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