【令和6年版】暦注について

日本の魔女術研究会

暦注とは、暦の行事欄に記載された古来より伝わるその日その日の吉凶を示したものを指します。
これは、日常をより充実させ幸せに暮らすために、凶事を極力避けて過ごせるように暦注として暦に記載されるようになりました。 

古来よりの暦の暦注は上段・中段・下段と様々な種類が記載されていますが、現代の生活においてそのすべてを取り入れて暮らすのは不可能に近いかと思うので、

キリヱ
キリヱ

個人的には取り入れられるものを取り入れ、凶日は大きな決断をせず大人しく過ごしておこう。くらいで構わないかと思っています。

ちなみに同じく暦注としてよく記載されてある「三隣亡」

この日は建築に関しての忌日とされている日ですが、
古い暦注には「三輪宝」家を建てるのに良い日と記載されていたそうです。

これは暦注の転記ミスから吉日から凶日に転じたという説があります。

天赦日 (暦注下段)

「てんしゃにち」「てんしゃび」と読みます。
「万よし」と書かれ、「百神が天に会合し、天が万物を赦す日で万事に渡って吉」と言われます。
暦日中で、一日中極上の大吉日。
干支相生・相剋のバランスを得て、天の恩恵によって何の障害もない日とされます。
特に婚姻に関しては最高の吉日で、開店・事業の創立・発明や研究の発表などには最良の日とされています。


(立春~立夏前日)
戊寅の日3/15(金)旧暦如月六日

(立夏~立秋前日)
甲午の日5/30(木)
7/29(月)
旧暦卯月廿三日
旧暦水無月廿四日

(立秋~立冬前日)
戊申の日8/12(月)
10/11(金)
旧暦文月九日
旧暦長月九日

(立冬~立春前日)
甲子の日12/26(木)旧暦霜月廿六日
令和6年天赦日

一粒万倍日(行事欄)

暦の行事欄に記載されている日で「いちりゅうまんばいび」と読みます。
物事を始めること・仕事始め・開店・種まきなどに大吉とされる日です。
ただし、借金などは後々増えて苦労する日とも言われます。

一粒万倍とは『稲』の異称で、一粒の種も蒔けば万倍となって実るという意味。
転じて少しのものでもやがて増えて多くを生み出す例えとなりました。

キリヱ
キリヱ

他の吉日と重なれば効果は倍増、凶日と重なれば効果は半減。

だと言われます。

天一天上(てんいちてんじょう)

日の干支によって定まる撰日で、癸巳(みずのとみ)から戊申(つちのえさる)の16日間。
天一神(なかがみ=一方に長く留まる神)は常に八方(東西南北とその四隅)を巡行して人事の吉凶禍福を司り、悪い方向を塞いでこれを守ってくれる神様です。

キリヱ
キリヱ

簡単に言うと、天と地を往復する神さまで、地にいらっしゃる時は四方を規則的に巡ります。
天一神がいらっしゃる方角を犯すと祟りがあると言われています。

「方違え(かたたがえ)」は地上に天一神が在る場合の方角の禁忌を避けるものです。

方違えとは、目的地の方角が障りがある場合、前夜に一度吉方へ出かけ一泊してから目的地へ向かうという風習です。

天一天上入り天一天上おわり
1/302/14
3/304/14
5/296/13
7/288/12
9/2610/11
11/2512/10
令和6年天一天上

甲子(こうし・かっし・きのえね)

六十干支の最初の日で、五行では「木・水」の相生であり、このため、めでたい日とされています。

はじまりの氣が満ちるこの日から始めたことは長続きし、行動を起こすにも良い日とされています。

師匠
師匠

ちなみに、タイガースや高校野球でおなじみの甲子園は、
甲子園球場の起工式が大正13年「甲子の年」に行われ、

末永く続くようにという意味を込めて「甲子園」と名付けられたから。という説があります。

(1/1)旧暦11/20
3/1旧暦1/21
4/30旧暦3/22
6/29旧暦5/24
8/28旧暦7/25
10/27旧暦10/25
12/26旧暦11/26

1月1日の甲子日はまだ旧暦睦月朔日を迎えていないため( )表記しています。

庚申(こうしん・かのえさる)

庚申の夜、人の身体に潜む三尸(さんし)という虫が天に昇って宿主の悪行を天帝(閻魔大王)に報告するという、道教の伝説からこの日は神々を祭って夜通し会食や酒盛りをする「庚申待ち」や「宵庚申」と言った風習がありました。

この報告によって閻魔大王は人の寿命を縮めてしまうんだとか。

上尸(じょうし)は人の頭の中に潜み、首から上の病を引き起こす虫で宝貨を好ませる、中尸(ちゅうし)は人のお腹の中に潜み、臓器の病を引き起こす虫で大食を好ませる、下尸(げし)は人の足の中に潜み腰から下の病を引き起こす虫で淫欲を好ませると言われています。
上の画像では左から下尸・中尸・上尸。

画像:Wikipedia

寝ないことで三尸が天帝へ報告に行かないようにしてたんだって。

青面金剛(しょうめんこんごう)や帝釈天(たいしゃくてん)、猿田彦神をお祀りします。
三尸を追い払ってくれるという青面金剛は疫病などを撃退する仏さまで、青面金剛をお祀りすることで
三尸が天帝に報告に行くことを阻止するとともに、病氣平癒や疫病退散などの祈りも込められています。
この庚申待ちや宵庚申といった風習は、古くは平安時代からあり、江戸時代になって庶民にも広がったとされます。

時々町中で見かける『庚申塚』

これは、庚申待を18回繰り返した記録として建てられたものです。
文明開化の進んだ明治時代になると、政府によって多くのこの石碑が撤去されたり破壊されたそうで、現在残っているものはそれを免れたなかなかレアなものだったりします。

十干の庚(かのえ)は『陽の金』、十二支の申(さる)も『陽の金』にあたります。
同じ氣(この場合は『陽の金』)が重なることを比和(ひわ)と言います。
この庚申にあたる年や日は『金の氣』が天地に充満して心が冷酷になりやすいとされます。
後述する辛酉の日も金の氣が重なり、そして辛は陰の氣なのでより冷酷さが増すとも言われています。

2/26旧暦1/17
4/26旧暦3/18
6/25旧暦5/20
8/24旧暦7/21
10/23旧暦9/21
12/22旧暦11/22

辛酉(しんゆう・かのととり)

辛は『陰の金』の氣、酉も『陰の金』の氣を持つ比和で、庚申と共に氣が冷たく停滞し、やがて大きな変革が起こるとして忌日とされています。

良くも悪くも『革命』や『革新』といったエネルギーを持つ日です。

先述のように、陰の氣なのでより冷酷さが増す日でもあります。
攻撃的なエネルギーを持っているものの、下にあるモノを上にひっくり返したり、
何かを乗り越えるためのエネルギーも満ちています。

エネルギーの質を知れば、使い方を選べるということです。

注意することに越したことはないですけどね。

2/27旧暦1/18
4/27旧暦3/19
6/26旧暦5/21
8/25旧暦7/22
10/24旧暦9/22
12/23旧暦11/23

己巳(つちのとみ)

最近は金運アップに良い日としてポピュラーとなった己巳の日。
己は土の氣で、「土は金の氣を生む」エネルギーを持っています。

ここでちょっと注意なのが、この「金の氣」がお金にまつわる金運ではないということ。
ここでいう金は鉱物資源などを指します。

金運を上げようと金の氣ばかりを上げるとえらいことになるので、ご注意を。

ヒント:刃物や武器なんかも金属。

五行はバランスです。

巳は蛇のことで、蛇は弁財天の化身であったりお遣いです。
己巳の日は芸術や財運の神さまと言われる弁財天さまの縁日。
「巳の日」にお願いをすることで、お遣いの蛇が弁天さまに願いを届けてくれると言われていますが、神仏とご縁がある縁日である「己巳」の日に行動を起こすことで相乗効果を狙っていると思われます。

(1/6)旧暦11/25
3/6旧暦1/26
5/5旧暦3/27
7/4旧暦5/29
9/2旧暦7/30
11/1旧暦10/1
12/31旧暦12/1

八専(はっせん)

選日の一つで、日の干支が壬子(みずのえね)から癸亥(みずのとい)までの12日間のうち、
干支共に五行が同じとなる壬子・甲寅(きのえとら)・乙卯(きのとう)・丁巳(ひのとみ)・己未(つちのとひつじ)・庚申(かのえさる)・辛酉(かのととり)・癸亥(みずのとい)の8日の総称で、癸丑(みずのとうし)・丙辰(ひのえたつ)・戊午(つちのえうま)・壬戌(みずのえいぬ)の日は八専の間日と呼ばれます。
八専の間は雨が降ることが多いため、農作業をする人にとっては厄日とされ、また、一般的にこの八専の期間は契約、建物の解体や木の伐採、引っ越し、法事や神事、婚礼にも厄日とされています。

同じ氣が重なると、バランスが崩れ偏りが起こります。
そのため、よろしくないものは更によろしくない方向へ行ってしまうため、転じて何事もうまくいかない凶日の多い期間。と考えられるようになりました。

繰り返しになりますが、同じ氣が重なる日は物事が極端に振れやすいと思って、

いつも以上に慎重でいる必要がある。と認識していればよいかと思います。
よろしくないことが更によろしくない方向に振れるなら、逆も然り。ということです♪

八専入り八専おわり
2/182/29
4/184/29
6/176/28
8/168/27
10/1510/26
12/1412/25

お日柄を意識して暮らすことも大きな自然のエネルギーを取り入れるための方法のひとつではありますが、
どの方向でそのエネルギーを使いたいのかが大切になってきます。
吉凶にこだわるあまり、氣に病んでしまったら本末転倒というものです。
暦注や撰日は今をより良く生きるための参考であって聖典ではありません。